令和元年度 修了式に代えてー校長挨拶ー

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令和元年度 修了式挨拶

 春休みに入りました。私も40年間の教員生活で、生徒がだれ一人いない修了式は初めてでした。3月に入ってから臨時休業が続いています。皆さんも3週間以上、不自由な生活を強いられて、気分が滅入り、身体が鈍っているなんてことはないでしょうか。大変ですが、自律した健康管理を心掛けてください。
 学校の様子を少しお伝えします。先生方は、学年末の成績評価や通知表作成などの仕事と新学年や新入生を迎える準備の仕事に追われています。新年度の入学者は333名を予定しています。小中高の卒業式も時間を短縮しながらも、温かくそれぞれの卒業生を見送ることが出来ました。ニュージーランドへ短期留学していた中高生も、航空機の運航が来月はほとんどなくなるため、残念ながら期間を短縮し本日夕刻、成田に到着予定です。

 オリンピックの1年延期が発表されるなど、世界中が、人の命が、ウイルス1つに振り回されています。パンデミックという言葉がWHOから発せられ、人類が今まで経験したことのない状況が地球規模で発生しています。今までの皆さんの生活の中で、マスクやトイレットペーパーが手に入らない経験はなかったと思います。他国では、街が閉鎖・隔離され、勝手に出歩けば警察に捕まり、船舶や航空機での往来を禁止する事態にまでなっています。皆さんは、今この世界の実態と動きをしっかり目に焼き付けておいてください。為政者や専門機関の判断や発言など、内容や発表時期などをしっかりと見届けてください。そして、自分なりに「これは良し」「これは駄目」と、仕分けしてみてください。世界的な課題解決のために、皆さん自身の判断力を磨いてください。

 判断には、様々な視点があると思います。国家元首が要請すると国民が動く国、命令して国民が動く国、命令しても動かない国。保健制度が整っている国、整っていない国。専門的医療機関が整っている国、いない国。新ワクチン開発の研究機関の力のある国、力のない国。もしあなたが、医者ならば。もしあなたが、病の子供を抱えた親ならば。もしあなたが、多くの患者を抱えた国の元首ならば。まさにグローバルな視点・判断力を鍛えてください。学校に登校できないことが、決してマイナスではなく、「転んでもただでは起きない」精神です。

 この度の多くの犠牲者の方々のご冥福をお祈り致します。それでも今回は、まだ死亡率は低くいおかげで、人類はある程度冷静でいられました。1つの経験を活かすには、想像力を発揮することです。若い皆さんは得意のはずです。このウイルスの死亡率が50%で潜伏期間の中央値が10日以上あったら、世界はどうなったでしょうか。また、ワクチンがすぐ作れる場合や1年以上かかる場合はどうなったでしょうか。人類の存亡に関わる事態が発生したときに、皆さんは冷静な行動がとれるでしょうか。学校では学べないことが、世界にはたくさんあります。答えの見えない重大問題だらけです。将来、若い皆さんの英知で、答えを作り上げてください。答えは必ずあるのです。

 新学期に元気な皆さんに会えることを、楽しみにしています。

令和2年3月25日
西武学園文理高等学校
校長 柴田 誠