第37回 高等学校卒業式 挙行

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3月1日(日)、第37回 西武学園文理高等学校 卒業式が
挙行されました。
昨今の状況を鑑み、参列者を限定し時間も短縮した形での卒業式とはなりましたが、306名の卒業生がそれぞれの夢や希望を胸に新たな道に向け旅立ちました。

柴田 誠 高等学校長 式辞(全文)

日に日に寒さも遠のきここ狭山の地にも、春が訪れます。今日の穏やかな日差しは皆さんの卒業を言祝ぐかのようです。
37期生の皆さん、卒業おめでとう。
今日が高校生としての最後の日になります。今この時を、その制服をしっかり味わい、記憶にとどめてください。卒業する皆さんへ、私から2つの言葉を贈ります。

1つ目は「今日の自分を生きる」。

皆さんは今を生きているし、地球上で生かされてもいます。100歳まで生きた人と60歳まで生きた人を比べて、60歳までしか生きられなかった人は不幸かというとそうではありません。人の幸福はその人の生き方が本質です。折角、人として生を受けたのならば、多くの人を愛し、愛され、家族を育み、大勢の友と語り、友と笑い合う、そんな楽しみを多く味わって欲しいものです。若い人は、自分の寿命のことなどは考えたことはないかも知れませんが、その時間的に有限な、あなたの命を大切にして欲しいと思います。「今日の自分を生きる」ということは自分自身で時間の遣い方を決断し、コントロールすることです。自分の時間をコントロールする難しさは、皆さんはすでに身にしみているはずです。私は仕事上、企業のトップリーダーや大学の学長とお話しする機会がありますが、すごい人だなと感じる方は、若い頃から自分の時間を徹底的にコントロールする自律心をもっています。決して世俗に流されず、大切な時間を浪費したりしないのです。そんな今日という毎日を積み上げて、人間的に成長してください。人生は短いですが、物に振り回されず、人間的な楽しみを多く経験しながら、自律した大人になってください。

2つ目は、「柔らかな心」。

まだまだ人間は未成熟な部分をもっています。世界の人々が、それぞれの歴史を背負いながら暮らしていく中で、政治思想や宗教、人種や文化が異なることに起因して、争いごとが起こっています。いざ争いごとが起こると、尊い人命が奪われます。近年でも数百、数千人単位で死者がでる紛争が、悲しい現実としてありました。それを少しでも回避するためには、国対国、人対人の相互理解を更に深める努力が必要です。皆さんには、柔らかな心をもち、世界規模での様々な価値観を学んで欲しいと思います。けっして排他的な姿勢でなく、相手を理解し、存在を尊重することが大切です。時には、自分の価値基準を変え、相手に譲歩する柔軟性が必要な場面も、あるかも知れません。それがあなたの一つの成長です。春になれば畑を耕し、空気をたくさん土に入れて柔らかくしてから、作物を植えて育てます。それと同じ柔らかさです。皆さんの幸せは日本だけが平和であっても維持できる時代ではありません。また、日本だけが経済的に豊かになれる時代でもありません。互いの国の平和や豊かさを、互いに協力しながら作り合い維持していく時代です。自己の価値観だけに固執することなく、柔らかな心で自分を変革し、成長し続けて下さい。自己変革に臆病な大人にはなってはいけません。どうか、「柔らかな心」で多くの人たちの幸福を支えられる大人に、成長してくれることを心から願って います。

保護者の皆様、長きにわたり本校の教育活動にご理解、ご協力を賜り心から御礼申し上げます。土日の休みもなく朝早くから夜遅くまで、勉強や部活、行事に熱中する生徒たちをお支えくださり、心より感謝申し上げます。教職員一同、懸命に指導・支援をして参りました。いたらぬ点もあったとは存じますが、本日、逞しく成長した若者たちを保護者の皆様のもとにお返ししたいと思います。

今日、旅立つ若者たちの、更なる成長と、一人ひとりの夢の実現を、皆様とともに祈念いたします。
第37期生の諸君、西武文理高校の卒業生として、誇り高く逞しく生き抜いてください。
心から皆さんの幸せを願っています。

令和2年3月1日
西武学園文理高等学校長
柴田 誠