令和3年度 1学期 始業式が行われました

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4月7日(水)、1学期の始業式が行われ、生徒たちの元気な声が学校に戻りました。
以下に、校長の挨拶文を掲載いたします。

校長挨拶 全文

 皆さん、おはようございます。春休みも明けて今日から新年度の始まりです。まだまだ、コロナが沈静化していない状況ですが、安全対策を取りながら教育活動は進めていきます。 先生方も知恵を絞っています。皆さんも、安全・安心のため防疫の行動をしっかりとってください。コロナに負けていられません。

 今日は皆さんに、女性社長を紹介したいと思います。株式会社Lily MedTech 代表取締役の東 志保さんです。
 東さんは、電気通信大学で物理学を勉強し、日立製作所中央研究所研究補助員として就職。 その後、アリゾナ州立大学へ留学し、航空宇宙修士号を取得しています。帰国後は、JAXA宇宙科学研究所の博士後期課程に進みますが、家庭の事情で中退しています。
 日立製作所で知り合った、医療用超音波の研究者と結婚され、その夫の勧めで、2015年東大の超音波CTプロジェクトに参画しています。実は、東さんは高校時代に脳腫瘍で母親を亡くしています。壮絶な死を目の当たりにしました。その経験から宇宙への夢から医療への転身を決意したのです。
 彼女が起業した会社は、医療用超音波の技術を活かした乳がんの診断装置の開発をする会社です。東大キャンパス内にある、従業員50人程度の会社です。女性の9~11人に1人は乳がんを患うといわれていますが、早期発見すれば95%以上の人が完治します。発見が遅れると20~25%まで存命率が下がります。今、乳がんは触診かマンモグラフィと言って、乳房を押しつぶしてのX線撮影が一般的です。それはとても痛いそうです。そのため検査受診率がとても日本では低いのです。そこで東さんは、超音波を使って痛くない乳がん検査機を作ったのです。ベッドに丸い穴が開いていてお湯が張ってあります。女性はうつ伏せになり、胸をその穴につけるだけ。あとは機械が超音波を用いて立体的な映像に変換してくれるのです。まったく痛くはないのです。画期的な検査機です。そろそろ今年あたりから、生産が始まり販売が開始されるとのことです。東さんの素晴らしいところは、超音波技術を検査機に具現化したこと、開発のための資金20~30億円を投資家から集めたこと、そして医療現場にその検査機の利便性を啓蒙していること。人の生き方は様々ですが、東さんの生き方・行動力は、とても清々しく魅力的です。

 株式会社Lily MedTechは2019年の経済産業省J‐Startupに選定され、また2020年のジャパンベンチャーアワード(中小企業庁長官賞)を受賞しています。
 そんな東さんが、ある場面で若い人たちに言った言葉がとても印象的でした。
「若い人は、体系化された学問だけでなく、今起きている技術革新にもっと積極的に触れ合うべきです。」

 どうぞ、令和3年度が、皆さんにとって充実した1年であることを願っています。

西武学園文理中学・高等学校
校長 柴田 誠