令和2年度 2学期始業式挨拶-高等学校長挨拶-

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 皆さん、おはようございます。学校長の柴田です。あっという間の夏休みが終わりました。それも、危険なほどの猛暑の夏休みとなりました。コロナと猛暑の二重苦で、皆さんのいろいろな計画も制約を受けたかもしれません。それでも一息ついて2学期を迎えてくれたことと思います。

 2学期は目の前の文理祭こそオンライン発信型に切り替えますが、少しずつ行事等も本来の姿に戻すことができるようになると思います。感染予防を徹底しながらも、学校生活を充実させてください。

 今回も一人の人物を紹介したいと思います。ジャパンベンチャーアワード2020の科学技術政策担当大臣賞を受賞した方です。名前は 岡田光信(おかだ みつのぶ)氏です。このジャパンベンチャーアワードは昨年度ALTのマーティン先生の紹介で、本校で講演していただいた、ミドリムシで有名な(株)ユーグレナの出雲さんも2012年に受賞しています。

 今年の受賞者の岡田さんは、40歳にして新たな宇宙関連の会社アストロスケールを創設しました。今、宇宙関連のニュースといえば、10月に野口聡一さんが米国の民間会社スペースXのロケットで国際宇宙ステーションへ向かう予定ですし、情報収集衛星の打ち上げなどもニュースになっています。しかし、岡田さんの着眼点は普通の衛星の打ち上げでなく、スペースデブリ(宇宙ごみ)の掃除なのです。すでに運用されなくなった衛星や人工物の衝突事故が宇宙で発生しています。大気圏に突入し燃え尽きるデブリもあるそうですが、そのまま高速で飛び続けているデブリの数は、新たな衛星の打ち上げ・運用に支障が出るほど危険性が高まっています。岡田さんは、民間企業として世界で初めて、宇宙を掃除する会社を2013年に立ち上げたのです。岡田さんの履歴を少し紹介すると、もともと環境問題に興味があり、東大の農学部進学、東大修士課程を退学し、政策を作る側になろうと大蔵省入省。その後アメリカ留学中にビジネスに興味を持ち、大蔵省を退職し米国の大学でMBA(経営学修士)を取得。有名なマッキンゼーに務めて、経営コンサルを経験します。  

 ここまでの経歴の中では宇宙に結びつく点はありません。しかし、岡田さんは、甲陽高校時代にNASAの体験プログラムに2週間ほど参加していたのです。またその時に、ちょうどNASAにいらした宇宙飛行士の毛利衛さんから「宇宙は君たちの活躍するところ」という手書きのメッセージをもらっていたのです。そんなきっかけがあって、宇宙環境を守るため、ビジネスの経験を活かし、日本、アメリカ、イギリス、シンガポールに拠点を開き、様々な企業の協力を得て100億円以上の資金を調達しました。自らのチームをスペーススイーパーと呼び、全世界を相手にビジネスを展開しています。残念ながら1回目の実験は2017年ソユーズの不具合から失敗しています。2回目の実験は今年2020年の後半に予定されているとのこと。岡田さんのビジネスモデルは大変ユニークなため、ハーバードビジネススクールの教科書に載ったことも広く知られたことです。今年後半、宇宙を掃除する実験衛星の成功を皆さんと楽しみにしたいと思います。皆さんにも将来を方向付ける人との出会い、経験がきっとあります。そんな経験をしっかりと受け止め、育んでもらいたいと思います。

 暑さとコロナに負けず、2学期も元気で過ごして下さい。

以上

西武学園文理高等学校
校 長 柴田 誠  

         

 

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